町田市の税理士 高橋浩之 です。
パロディ童話「いやいやしゃ」

しげるは、ちゅーりっぷ社の社員です。
しげるは、給料明細をみて、がっかりしました。源泉税が引かれているのです。
「源泉税引かれるなんて、いやだよう。
手取りが少なくなって、いやだよう。
額面でもらえなくちゃ、いやだよう。」
しげるは、給与明細をにらみつけて、
「よう、よう、源泉税引かれるのは、いやだよう、額面どおりちょうだいよう。」
と、ジタバタしました。
そのようすをみていたおかあさんは、しげるにいいました。
「いやいやしゃに転職しましょう。いやいやしゃなら、しげるも好きになりますよ。」
いやいやしゃでは、社長がいて、いいました。
「いやいやしゃじゃ、いやなことはしないさ。源泉税がいやなら引かないよ。みんなそうさ。」
給料からは、源泉税が引かれていませんでした。
いやなら、源泉税を引かれない、いやいやしゃは、ほんとうにいい会社です。
さて、
あなたは、社長です。
社員からつぎのような要望がありました。
手取りが減るのはいやだから、源泉税引かれるのは困ります。
税金のことは、自分でしますんで。
源泉税引かないようお願いします。
そんなわがまま(?)をきいてはだめですよ。
いやいやしゃに税務調査がありました。
税務署のひとがいいました。
「おや、給料から源泉税をひいていませんね。
源泉税をひいて、それを税務署にしはらうのは会社の義務です。いやだからといっても通用しませんよ」
「義務ですから、まず会社が税務署に源泉税をしはらってください。本人からはあとからもらってください。」
「ぜんぶもらえるかはわかりませんけどね、いっひっひっ・・・。」
なぞのひとことをのこして、税務署のひとはかえっていきました。

源泉税を引いていないということは、税務署に源泉税を支払っていないということ。
すると、税務署はまず、会社に請求してきます。
源泉税を支払ってね、って。
源泉税を支払った会社はどうしましょう?
まとめて、本人に請求しますよね。
会社は、本人の源泉税をとりあえず立替払いしただけですからね。
請求した金額を本人からもらえれば、めでたし、めでたし。
ところが、すでに辞めていたりすると、もらえません。
そのときは、それが会社の負担になってしまいます。
「いろいろあったけど、また、あしたからも出社してくれるかい?」
と社長がいいました。
「いや、もう、こない。」
「へぇ、いやいやしゃは、きらいかい?」
「うん。きらい。」
「それは、ざんねんだ。」
「あとから税金をまとめて請求されるなんて、まっぴらだよ。」
しげるは、あかあさんとそとへでました。
かどをまがると、もう、いやいやしゃは、みえません。
しげるは、おかあさんのせなかでゆれながら、
「あしたになったら、ちゅーりっぷ社にいくんだ。ちゅーりっぷ社じゃ源泉税ひかれるけど・・・。あとからまとめて請求されるより、ずっといいよ!」
と、いいました。

会社があとから税務署にまとめて支払う源泉税は、期限を過ぎての支払いです。
すると、遅れたということで、罰金などのペナルティがあるんですね。
ペナルティは会社の負担。だれにも請求はできません。
やはり、源泉税はキチンと引いて、きまった期日までに税務署に支払うのがいいようです。
翌日、ちゅーりっぷ社にいくと、社長がいて、いいました。
「うちでまた働きたいだって?」
「景気はきびしいし、消費税の増税も控えている。社会保険への加入もせっつかれているし・・・。いちどやめた人間をああそうですかって、すぐやとうほど余裕はないよ。」
「ほかをあたってくれ。だがな、40すぎての再就職はきびしいぞ。」
あっさり、断られてしまいましたとさ。
<お・し・ま・い>
*・・・やはり、おとなのつくるパロディ童話はすこしリアルです。
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