町田の税理士 高橋浩之 です。
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“のれん”は目に見えない。決算書には登場しない
あなたの会社は、A社を買収しようとしています。買い取り価格は、相場の100ではなく、それを上回る150。なぜ高く買うのか。なぜなら、A社の目に見えない価値を評価したから。その目に見えない価値を“のれん”といいます。A社のケースでは(150-100)で50が“のれん”です。

“のれん”は目に見えない価値。ですから、買収したあなたの会社の決算書には載ってきません。
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“のれん”は結合した決算書に登場する
その、目に見えない“のれん”が浮かび上がってくる場面があります。あなたの会社が、A社と結合した決算書を作る場面です。そのとき、陽の目を見なかった“のれん”がグルーブの決算書に登場するんですね。理屈は省きますけど、なんというか、そういう仕組みになっている。

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“のれん”の処理は日本と世界では違う
グループの決算書に登場した“のれん”は、日本基準と国際基準では処理方法が異なります。日本では、時間をかけて(つまり毎年少しずつ)“のれん”をなくしていきます。減価償却のように費用化していくわけです。その年数は最大で20年。
一方、国際的な基準では、費用化しません。“のれん”が同じ金額のままあり続けるわけです。でも、もし買収先A社の業績が悪化したらどうするの? そのときは、“のれん”を損失として償却します。
つまり、日本と国際的な基準の違いは、すこしずつ費用にしていくのか、何かことが起きたときに一気に費用にするのかの違い。これは考え方の違いで、どちらが正しいなんて決めつけることはできない話ですよね。

基準に違いがあるということは、どちらの基準を使っているかによって、最終的な利益が異なってくることを意味します。国際的な基準のほうが“のれん”を費用にしていないので、日本基準に比べて、利益は多く計上されているはずです。もし、決算書に[IFRS基準]なる文字を見かけてたら、そのグループは国際的な基準を使っている証拠です(日本基準のときは[日本基準]と書いてあります)。
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