町田の税理士 高橋浩之 です。
国税庁の集計によると、相続税の申告漏れ財産のうち、もっとも多いのが現預金。申告漏れ財産全体のおよそ1/3を占めています。
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現預金の申告漏れは、名義によるものが多い(?)
相続税の申告漏れをちょっと刺激的に表現すると “遺産隠し”。遺産隠しというと、ついこんな場面を想像したくなります。

でも、実際はこういう遺産隠しよりも、現預金に関しては、名義によって申告漏れになるケースのほうが多いように思われます。んっ? 名義によって申告漏れ? それ、どういうこと?───
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毎年、孫名義で預金していたおじいさん
典型的なケース。あるところにおじいさんがいました。おじいさんは、かわいい孫のために、孫名義で毎年毎年毎年毎年110万円ずつせっせとせっせと預金してきました。110万円までなら、贈与税はかからないと聞いたからです。「孫が大きくなるまでは、本人には内緒じゃな。成人したら、ほうら、お前名義のこんな預金があるんだよ、と通帳と印鑑を渡せば大喜びだろうて。わしの株も上がるわい」

さて、こんな状況の中、もしもおじいさんが、お孫さんに通帳のことを話す前に亡くなったら・・・その通帳のお金はだれのもの?
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それは贈与になりません
もちろん、孫のお金だよね。だって、孫名義だから。おじいさんの遺産じゃない。相続人がそう考えて遺産に含めなければ(←ある意味、素直な行為ともいえるわけですが)申告漏れになります。なぜなら───、
なぜなら───贈与は、あげる人があげるよと意思を示し、もらう人がOKして初めて成立するもの。

おじいさんのケースでは、孫はまだ受け取ることをOKしていません。というか、OKしたくてもできない。預金の存在を知らされていないのだから。つまり、おじいさんの一連の行為は贈与の体をなしていないというわけ。贈与の体をなしていないということは・・・つまりあげていないということで、その通帳のお金は依然としておじいさんのものということに。当然、遺産として相続税の申告をしなければなりません。

これが、名義によって申告漏れが起きる典型的なケース。このような預金を名義預金といい、税務署が十分目を光らせています。相続税の申告の際は、預金の名義だけでの判断はなさらぬよう。
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